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信託の税金

2019年10月25日

「忘れてはいけない税務署への提出書類」
についてお伝えさせていただきます。

―・◆本日の目次◆―・―・―・―・―・―・
1.収益不動産の家族信託
確定申告はどうなる?
2.税務署への提出が必要な書類とは?
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1. 収益不動産の家族信託 確定申告はどうなる?

収益不動産のオーナーは、毎年、
不動産から生じる所得について、確定申告を
行う必要がありますが、家族信託を行った場合、
この確定申告は、誰が行う義務があるのでしょうか?

次の所得税法の条文をご覧ください。

(信託財産に属する資産及び負債並びに
信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)
第十三条 信託の受益者(中略)は当該信託の
信託財産に属する資産及び負債を有するものと
みなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益
及び費用は当該受益者の収益及び費用と
みなして、この法律の規定を適用する。(以下略)

上記のとおり、所得税法は、信託財産から
生じる収益及び費用は、受益者のものとみなす
旨を規定しています。

つまり、収益不動産を信託した場合、
その収益の確定申告を行うのは、
受益者であるということになります。

通常の家族信託は、
自益信託(委託者=受益者)として
設計される場合がほとんどです。

そして、自益信託として設計された
一般的な家族信託では、信託の前後で特に
変更はなく、財産のオーナー(=受益者)が
確定申告を行うこととなります。

2.税務署への提出が必要な書類とは?
税務署への届出書類は、「所得税法」と
「相続税法」の2つの法律で規定されています。

【1】所得税法が定める「信託の計算書」とは・・・
確定申告は受益者が行うということは
先ほどお伝えしました。

しかし、収益不動産を信託した場合に税務署へ
提出しなければならない書類は、
確定申告書だけではありません。

次の所得税法の条文で、受託者に
「信託の計算書」の提出が義務付けられています。
(信託の計算書)
第二百二十七条 信託(略)の受託者は、
財務省令で定めるところにより、その信託の
計算書を、(略)毎年一月三十一日までに、
税務署長に提出しなければならない。

受託者は、所轄税務署長に対し、毎年、
1月31日までに、「信託の計算書」を
提出する義務があります。

つまり、収益不動産を信託した場合、
受益者からは確定申告を行う必要があり、
受託者からは、信託の計算書を提出する必要があります。

ただし、信託財産から生じる収益の合計額が
3万円以下(計算期間が1年未満の場合は、
1万5千円以下)の場合には、
この信託の計算書の提出は不要です。
(所得税法施行規則第96条第2項)

したがって、委託者の自宅など、
収益を生じない不動産を信託した場合は、
この計算書の提出は不要となります。

しかし、自宅を売却して収益が
発生した場合などは提出が必要となりますので、
ご留意ください。

信託の計算書は下記からご確認いただけます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100054.htm

【2】相続税法が定める「受益者別の調書」とは・・・
信託の効力発生当初から委託者
(財産のオーナー)以外の者が
受益者となっている場合や、
信託の効力発生後、受益権の無償譲渡が
なされた場合等には、相続税法上、
贈与税が課税されます。

「受益者別の調書」とは、
そのような贈与税を課税すべき場面で、
当局が課税の機会を逃さないために
受託者に提出を義務付けている書面と考えられます。

具体的に提出が必要な場合を、
次の相続税法の条文で確認しましょう。
(調書の提出)
第五十九条 3 信託の受託者(中略)は、
次に掲げる事由が生じた場合には、
当該事由が生じた日の属する月の
翌月末日までに、(中略)調書を(中略)
所轄税務署長に提出しなければならない。
一 信託の効力が生じたこと(略)。
二 (略)受益者等が変更されたこと(略)。
三 信託が終了したこと(略)。
四 信託に関する権利の内容に変更が
あつたこと。

上記(一)~(四)の事由が生じれば、
その翌月の末日までに、受託者は、
所轄税務署長へ受益者別の調書を提出する必要
があります。

ただし、次のような場合には、
調書の提出が不要とされています。
(相続税法施行規則第30条第3項)
【1】受益者別に見た信託財産の価格が、
相続税法上の評価で50万円以下である場合。
【2】(信託の効力が生じた場合において)
委託者と受益者が同一の場合。
【3】(信託が終了する場合において)終了直前の
受益者と帰属権利者が同一人である場合。
【4】(信託が終了する場合において)信託財産が
ない場合。
【5】(信託に関する権利の内容の変更の
場合において)受益者が一人である場合。

受益者別の調書は、下記からご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100063.htm

信託には、税務上、様々な書類の提出義務が
あることがお分かりいただけたでしょうか。

公正証書による信託契約の締結、
不動産の信託登記や受託者名義の口座開設を
行った後も、税理士のサポートが必要とされる
手続きは多数存在しているのです。

以上、今回は
「【家族信託】忘れてはいけない税務署への
提出書類」について
お伝えさせていただきました